ドライアイ(乾燥性角結膜炎)

ドライアイとは?

ドライアイとは、いわゆる‘乾き目’のことです。日本のドライアイ人口は800万人とも言われ、一般の方にも、かなり浸透している病名となっています。症状としては目の乾き以外にも‘ショボショボする、ゴロゴロする、目が開きづらい、目が赤い、目がかすむ、疲れやすい’といった症状が出てきます。

涙は上まぶたの外側にある涙腺で作られ、目の表面に潤いを与え、目頭にある涙点から鼻の奥に排出されます。目の表面では、表面から角膜に向かって、油層、水層、ムチン層と3層構造になっています。この3層のどこかに異常が起こるとドライアイになります。

ドライアイでは眼は乾いて傷つきやすい状態となり、重症になると眼の表面に無数の傷がついている場合もあります。ドライアイの原因となる疾患は様々ですが、ドライアイの結果として生じてくる症状は程度の差こそあれ、ほぼ同様です。重症なドライアイほど角膜上皮障害はひどくなります。万が一、重症な状態を放置してしまった場合には、乾燥により角膜混濁を起こし視力が低下する可能性もあります。角膜の傷に細菌感染を起こしてしまうと角膜潰瘍などになり急激に視力が下がることもあります。

シェーグレン症候群

ドライアイ、ドライマウスを主徴とする自己免疫疾患です。最も重症なドライアイを呈する疾患の1つです。 ドライアイ、ドライマウスといった乾燥症状のみの症例を一次性シェーグレン症候群、慢性関節性リウマチ、慢性甲状腺炎などの全身性疾患に合併するものを二次性シェーグレン症候群といいます。

当院では、ドライマウス外来、近隣のリウマチ内科の先生方と連携を取って、シェーグレン症候群の治療に当たっています。

ドライアイの自覚症状

    • 目が疲れやすい
    • 目やにがでる
    • 目がゴロゴロする
    • 目が重たい感じがする
    • 目が乾いた感じがする
    • 目に不快感がある

    • 涙がでる
    • ものがかすんで見える
    • 目がかゆい
    • 光をみるとまぶしい
    • 目が充血する
    • 目が痛い

ドライアイの検査方法

染色検査:フルオレセイン、ローズベンガル染色 角膜の傷の有無を診ます
涙液検査:シルマー試験 涙の分泌量を測る検査
BUT検査 涙液層の安定性を観察
DR-1検査 涙の油分の検査

ドライアイの治療方法

ドライアイの治療方法
目頭にある涙点(涙の出口)にプラグを挿入します。点眼麻酔をしますので挿入時に痛みはほとんどありません。

ドライアイの治療は、人工涙液、ヒアルロン酸などの点眼治療が第一選択となります。しかし、点眼治療やドライアイ用眼鏡の使用などの保存的治療にて改善の認められない場合には、涙点プラグを考慮する必要があります。涙点をプラグで塞ぐことによって、涙が目の表面にたまり眼の渇きを防ぐことができます。涙点プラグは栓をしているだけなので、外れてしまうこともあります。そういった場合には、涙点を閉鎖させる手術をする場合もあります。

ドライアイのQ&A

Q1.ドライアイは治りますか?

目薬をすることによって症状を緩和することはできます。しかし、涙の分泌を増やすような薬はありませんので、足りない分を補ってあげることが治療の目的となります。薬をやめてしまったら、症状ぶり返してしまいます。目薬でよくならないようなら、涙点プラグなどの治療が必要になることがあります。

Q2.市販のドライアイ用の目薬を点してもよくならないのはなぜですか?

市販の目薬には、防腐剤や添加物が含まれていることがあります。重症なドライアイの方の場合、それらに対して弱くなっています。かえってドライアイが悪くなったり、傷ができてしまうこともありますので、市販の目薬でよくならない場合には眼科受診することをお勧めします。

Q3.ゴロゴロするので、水道の水で眼を洗ってもいいですか?

水道水には、バイ菌や消毒薬が混ざっています。目にとってはよくありません。特にドライアイの方は避けたほうがいいでしょう。

ドライアイ特殊検査について

染色試験

フルオレセインという黄色の染色液とローズベンガルという赤の染色液を点眼して、眼の表面にある傷を染めて、ドライアイの重症度を判定します。フルオレセインは主に角膜、ローズベンガルは主に結膜の傷を評価することができます。

重症ドライアイ患者さんのフルオレセイン染色

重症ドライアイ患者さんのフルオレセイン染色

重症ドライアイ患者さんのローズベンガル染色

重症ドライアイ患者さんのローズベンガル染色

シルマー試験

シルマー試験>

シルマー試験

涙液の分泌量を測定する検査です。5分間、細長い濾紙を下まぶたに挟み、涙で濡れた長さを測定します。5mm以下が異常値です。

DR-1(ドライアイ観察装置)

DR-1(ドライアイ観察装置)

DR-1

涙液の異常を知るには、涙液を観察することが重要です。涙液層はムチン層、水層、油層の3層からなり、それらの障害によりドライアイを引き起こします。

この装置は、涙液のうち油層の状態を観察するカメラです。ドライアイの重症度を評価する事ができ、またナノメーターレベルの涙液油層の厚みを測定することが可能です。

ティアスコープ

ティアスコープはDR-1と同じく涙液を観察する装置です。まぶたの縁にたまっている涙液を測定することができます。

ティアスコープ

ティアスコープ

矢印間の高さを測ります。

矢印間の高さを測ります。

マイボグラフィー

マイボーム腺の構造が透過して見えます

マイボーム腺の構造が透過して見えます

まぶたの縁には油を分泌するマイボーム腺があります。この油によって涙液が蒸発するのを抑えていますので、分泌機能が低下するとドライアイの原因になります。マイボグラフィーは、光をまぶたの皮膚にあて、裏側より透過された腺の構造をみる方法です。マイボーム腺の油の分泌機能を評価することができます。

涙液蒸発量検査

涙液の蒸発量を調べる検査です。

角膜トポグラフィー

角膜、涙液の表面不整を調べる検査です。角膜診療では不正乱視の検出に利用されています。

角膜トポグラフィー
角膜トポグラフィー

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